離乳食とお口と歯の成長2

 前回コラムから続きます。離乳後期のはじまりです。
 前歯の上下8本が生え始めるころになると、上あごが広がり、口の中の容積も大きくなります。唇や舌の動きも発達し、舌は左右に動かせるようになります。舌でつぶせ切れない食材を舌で左右に寄せて、歯ぐきで噛んですりつぶせるようになります。前歯が生えてくるにしたがって食べ物をかじる動きとひと口で食べられる量を覚えていきます
この時期が離乳後期です。食材は5㎜~7㎜の粗みじん切りにして、硬さはバナナくらいの硬さに煮込みます。
スプーンも平らなものを使用してきましたが、この時期になったら、くぼみのあるスプーンに替えましょう。
 指先で物を掴めるようになるので、「手づかみ食べ」や「遊び食べ」を盛んにするようになり、ご両親にとっては大変な時期に入ります。
しかし、手づかみ食べは、赤ちゃんの成長にとって重要な体験です。食べ物にさわる・その感触や温度を感じる・食べ物がこぼれたり落ちたりするのを見る、といった出来事は、赤ちゃんの好奇心や五感を刺激します。
また、食べ物をつかんだり口に運んだりすることで、ものと自分との距離感覚を学びます。生まれて初めての食育ともいえるでしょう。
広い視野で言えば、ひとつひとつ自分以外の世界に自ら触れることで、感覚機能や運動機能・認知力などが身についていくことになります。

 前歯の上下8本が生えそろい、奥歯が生え始めるころになると、舌の動きも自由自在になり、奥歯でものをすり潰して食べられるようになってきます。1㎝角の食材を食べられるようになります。まだ噛む力はそれほど発達していませんので、食べ物の固さはスプーンで切れる肉団子程度にします。
 この離乳完了期から次の段階の幼児食への移行にかけては食べ物の固さも重要です。
奥歯が生えておらず噛めないのに、固い食べ物を食べると、噛まないで呑み込み癖がついてしまいます。
大人と同じように固いものが食べられるようになるのは3歳を過ぎてくらいですが、そのころを過ぎてもいつまでも柔らかい食べ物だけだと、噛む気がなくなってしまうので、注意しましょう。

 歯や舌の成長に合わせて正しいステップで離乳食を進めていくことで、食育と合わせて、歯やお口まわりの正しい成長を促してあげましょう。