食欲不振になってしまったら

 前回コラムで、食欲不振に陥る原因にどのようなものがあるか挙げてみました。消化器系の病気など直接関係ありそうなものから、心理的な疾患が原因のケース、薬の副作用などの場合もあり、一見結びつきのなさそうな原因もあることがわかりました。食欲不振になってしまったらでは食欲不振が続いたり、減らそうとも思っていないのに体重が減ってしまうといったときには、具体的にどうすればいいでしょうか。
 食欲不振から抜け出すには、まずは原因を調べるために医療機関を受診しましょう。食欲不振にはいろいろな原因が考えられ、素人が簡単に判断できるものではないので、まずはかかりつけ医や内科を受診するとよいでしょう。既往症があり定期的に医師に診てもらっている方は、その通院先に相談するのもよいでしょう。医療機関を受診し検査などをしてもらっても、身体的な疾患が見つからない場合や、同時期に気持ちの落ち込みなど、心の疾患の症状がみられるときは、精神科等の受診も視野に入れる必要があります。また薬の副作用が考えられる場合には、勝手に自分の判断で服用を止めないで、処方した医師に相談しましょう。
原因がわかったら、それぞれの原因に対する治療を行います。

 食欲不振の原因として多い消化吸収機能が弱っているケースを見てみます。日常生活のなかで気を付けることは、刺激物は控え、消化の良いものを少量づつ食べることなどとなります。消化の良い柔らかめの食品を中心に摂ると良いでしょう。繊維がかたい野菜(ごぼう、タケノコ、山菜、コーンなど)、食材そのものが固いイカやタコ、脂身の多い肉や揚げ物などは食欲が回復するまで摂らない方がよいでしょう。固いものをどうしても食べたい場合は、下ごしらえで工夫します。肉の場合は叩いて繊維をあらかじめ切っておく、堅い繊維の野菜の場合は切れ目を入れて面取りをするなどです。
加齢などで噛む力、飲み込む力が弱っている場合や、食べ物の通る道に炎症を起こしている(口内炎・食道炎)などの場合も、食事の工夫で食欲不振を和らげることができます。食材を柔らかくする、なめらかにする、小さくする、歯や舌ですりつぶしやすくする、などの調理で少しでも多く食事を摂れるようにします。
高齢者の場合には低栄養(エネルギーとたんぱく質が欠乏し、健康な体を維持するために必要な栄養素が足りない状態)のリスクもあるので、少量でもバランスの取れたメニューにすることも重要となってきます。