舌を診て、からだを知る

 舌と言えば、食べるときに味をおもに感じるところであったり、話すとき器用に動いて、言いたいことを表現してくれるなど、私たちにとって、とても大事な器官の一つであることは間違いありません。
 その舌も日ごろあまり繁々と見たりしませんし、ましてや毎日様子を観察している人は少ないでしょう。今回は「舌を診る」ことのススメです。

 では、舌を診ることがなぜ良いのでしょうか。舌は新陳代謝が激しく、数日で細胞が入れ替わり、体の調子が表れやすいとされています。
加えて表面が薄い粘膜でできているので、その下に流れている血管や血液の状態がわかりやすいのです。
ですので、からだの調子の変化をいち速く、わかりやすく知ることができる場所なのです。
毎日、舌をチェックするとしたら、同じ時間、同じ場所(明るさ)で行うのがよいでしょう。食べ物を食べた後は、その色などに影響されるので、朝の食事前などにチェックします。

観察のポイントです。
1.舌の大きさ・・・いつもと比べて大きい場合は、体がむくんでいる徴候かもしれません。舌のふちに歯の形がついているときも同様です。舌が膨張して歯に当たって形がついていると考えられます。
2.舌の色・・・正常な状態では、淡いピンク色をしています。赤みが強いときは、熱で身体全体が炎症を起こしていて、水分不足な状態を表します。白かったり、青白かったり、紫がかったりしているときは、血行が悪く赤血球が少なくなっていて、体が冷えていることを示しています。
3.舌の表面・・・健康な状態の舌には、うすく白い舌苔がついています。白苔が分厚いときは水分代謝が悪いことを示し、胃腸虚弱や胃腸の病気が考えられます。舌苔がまったくなくてツルツルしている、舌苔が一部剥がれているといったときは水分不足や栄養不足です。舌苔が黄色っぽい場合は、歯周病や虫歯、胃腸の疾患や、熱が原因の場合もあり、注意が必要です。さらに舌苔の色が濃い褐色や黒っぽい色だと、体力の極度の低下や、抗生物質などの薬の副作用などが考えられます。

 舌の状態を診るだけでも、これだけの情報が得られるとおわかりいただけたと思います。舌に限らず、からだのいろいろな器官に対して注意を払うことで病気の早期発見につなげたいものです。